屋根断熱:セルロースファイバーの施工方法

目次

屋根は、住宅の中で最も外気と温度差が大きい部位です。
夏は太陽の直射で屋根表面が60℃以上になることも。
年間を通して熱の出入り口になる場所のため、屋根そのものに断熱材を施工する「屋根断熱」が非常に効果的です。

セルロースファイバーの熱容量

セルロースファイバーは木質系の繊維でできており、熱を蓄える力(熱容量)が高いのが特徴です。
これにより、昼間の強い日射を受けても、すぐには室内に熱を伝えません。夕方〜夜にかけて少しずつ放熱することで、室内の温度変化をゆるやかに保ちます。

セルロースファイバーの吸音性

吹き込んだセルロースファイバーは、細かい繊維が空気の振動を吸収してくれます。
屋根を打つ雨音、外の車の音などもやわらげてくれるため、静かな空間づくりにも効果的です。

セルロースファイバーの調湿性

セルロースファイバーは調湿性があるため、空気中の湿気を一時的に吸収・放出してバランスを保ちます。
屋根裏の結露リスクを減らす効果も期待できます。

1.専用の機械を準備

セルロースファイバーは、ブロワー(送風機)とホースを使って吹き込む工法です。
適切な密度(屋根断熱では55/㎥程度)と厚みを確保するため、施工前にマシンの調整を行います。

2.透湿防水シートを留める

屋根断熱を確実に機能させるためには、断熱材の外側に透湿防水シートをしっかり施工する必要があります。

室内や断熱層からの湿気は通しながら、屋根の外からの雨などはシャットアウトします。

通気層の確保が重要

このシートは、ただ屋根の内側に貼ればいいわけではありません。
屋根材(野地板)の裏側と断熱層の間に、30mm以上の通気層をしっかり確保した上で、その外側(野地板側)に貼ることが大切です。

3. 屋根の内側に不織布を張る

断熱材を支えるため、屋根の内側に不織布(吹込み用シート)を張ります。
タッカーで100〜150mm間隔でしっかり留めます
不織布の背面には木下地(間柱)を500mm以内のピッチで配置し、経年沈下を防止します。
この工程により、断熱材をたっぷり充填でき、施工後も形を保ちます。

4.セルロースファイバーを吹き込む

透湿防水シートと不織布の間に、ホースを通じてセルロースファイバーを吹き込みます。

この工程では職人の腕が問われる部分で、ホースの向き・スピードを調整しながら、隅々まで丁寧に充填していきます。

5.厚み・密度・吹き漏れを確認

吹き込みが終わったら、厚みや隙間がないかを目視と手触りで確認していきます。
吹き残しがある場合は再度吹き込みを行い、性能のバラつきが出ないように調整します。

6.吹き込み口をふさいで完了

断熱材を吹き込むために開けた部分をしっかりとふさぎます。
当社は、自然素材にこだわり塞ぎ口に「羊毛」を使用します。

屋根断熱は、仕上がると見えなくなってしまう部分ですが、快適性・省エネ性に大きく関わる要素です。
「何を使うか」と同じくらい、「どう施工するか」が性能を左右します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次